80歳を超えた、筆者の親は文字を見たり、書いたりするのがつらくなってきているようだ。公的な文書に記入が必要な場合などに助けを求められることが増えてきた。年賀状もそのうちのひとつで、十数枚まで減った近年も「書くのが大変」とこぼす▼旧郵政研究所発刊の「年賀状の歴史と話題」によれば、平安時代後期には藤原明衡によって年賀状の例文が残されており、「長い歴史を持つ日本の文化」という。また、社会の発展により交流する人や地域の範囲が広くなるなか、年始回りに代わるものとして広く一般に普及したようだ▼受け取った年賀状に家族写真や、今年の抱負などが書かれていると、ほのぼのとした気持ちになる。一方、印刷された文字が並ぶだけの年賀状を見るのは寂しい。ひと言でも手書きの言葉が添えられていれば、いきいきとしたものになるのに…▼ただ、年末は何かと忙しい時期。送り先の住所を書くだけで精いっぱいであることも理解できる。ならば、松の内に会う人とは合意のもとで年賀状の交換をやめるとか、遠方ならメールや電話で新年のあいさつをすることにしてはどうだろうか。そんなふうに思う筆者もまた年を重ねたということなのだろう。(堀)
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