虎だと思って射た矢が岩を貫いた故事に由来する「一念岩をも通す」ということわざは「心を込めてやれば、どんなことでもできる」例えに用いられる。桐生機械工業連合会と大田工業連合会との間で強まる結びつきに、ことわざが具現化した思いがしている▼桐生機工連は大田区産業プラザで4日まで催された「おおた工業フェア」に初出展した。大田工連との間で2014年に結んだ事業継続計画(BCP)強化に向けた相互応援協定をPRしたが、13年に打診した当初は「桐生ってどこ」というつれない反応だったという▼ものづくり技術の高さで全国的な知名度を誇る大田区からみれば、桐生への関心がその程度だったのも仕方なかろう。まさにゼロベースから信頼関係を築き、協定締結からフェア出展へと至った。初日の開会前後、大田工連や区役所の幹部が相次ぎ桐生ブースを訪ね、機工連の山口正夫会長と親しく言葉を交わす姿が印象的だった▼山口会長は開会式典が終わるや否や、会場をくまなく回り、約100の区内企業に取り組みを直に説明した。「思いは大切だよ」と笑ったその真剣な姿こそ、周りを動かし、相手を本気にさせた源泉なのだと悟った。(悠)
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