「独自路線を走る朝鮮の行き先を私たちは複雑な思いで見守っています」|。桐生地域で生活し、仕事をしている在日コリアンの人たちと地域の政財界関係者が交流する新年会を久しぶりに取材した▼前回の取材はたぶん10年近く前で、新年会は以前と変わらず出席者どうし和やかに笑顔を交わす光景が広がった。だがこの間に、北朝鮮に対する日本人の視線が一段と厳しくなったのも確かだ▼冒頭の言葉は、桐生地域朝鮮商工会の尹永浩会長のあいさつの一節。核ミサイル開発に突き進み、国際社会から白眼視され、ヘイトスピーチの標的にされているけれど、自分たちにとっては大切な故郷なのです。そんな複雑な思いが「独自路線」の言葉ににじむ▼群馬朝鮮学校への補助金が県の新年度当初予算案に計上されていないことにも触れ「在日コリアンのコミュニティーの場であり私たちの未来と希望が託されている学校」として、補助対象となるよう理解を求めた。会長いわく、同校で反日教育など行われてはいないという▼「今年こそ私たちを取り巻く情勢が好転し、平和で良好な地域交流が深まることを願います」。あいさつに込められた切実な思いが胸に迫る。隣人として心からそう願う。(成)
関連記事:
↧
地域の隣人
↧