みどり市東町と桐生市黒保根町の山林を所管する、わたらせ森林組合(本所東町花輪、田川英二組合長)が東町荻原に建設した新施設「地域材加工センター」があす9日、竣工(しゅんこう)式を行い、正式にオープンする。原木を安定価格で買い取り、付加価値の高い板材に加工して集成材工場に供給するほか、端材は製紙原料のチップやバイオマス燃料の木質ペレットにして出荷。林業再生の“切り札”として期待される施設が本格的に動きだす。
同センターは、同組合が運営している製材施設・小径木加工センターに隣接する渡良瀬川沿いに新設。原木貯蔵ヤード(約1万平方メートル)と、はく皮棟、製材棟、チップ棟、ペレット棟の4施設(敷地面積約6000平方メートル)で構成する。
丸太を通すだけで自動的に板材にし、同時に端材をチップ化できる最新鋭の製材機「キャンターシステム」を導入。地域の山で生産される原木を買い取り、需要の高い集成材のパーツとなる板材(ラミナ)に加工して、住宅メーカーの大規模工場に販売する。
さらに端材はペレットに加工し、暖房燃料としてハウス農家などに供給。価格が不安定な重油に代わる燃料として、地域農業への貢献も目指す。
年間生産量はラミナ約3500トン、チップ約2200トン、ペレット約600トンを計画。稼働5年目に原木消費量8200立方メートルを見込む。総事業費は約4億5000万円で、国が約2億円、県が約8000万円、みどり・桐生両市で計約1億2000万円を補助する。
山の近くに原木の“出口”となる施設ができることで、林業のネックである輸送コストが削減されるメリットに加え、周辺の原木市場や製材施設より高値で原木を買い取ることで、森林所有者の生産意欲が高まり、林業が活性化することが期待されている。
田川組合長は「東毛地域にはこうした施設がなかった。ここに原木を持ち込めば安定価格で買ってもらえるという認識が広がれば、地域の山から多くの木が生産されるようになり、後継者不足などで荒廃した山がきれいになる。山に利益を還元し、森林・林業を再生できるよう頑張りたい」と意気込む。
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