東日本大震災6年に当たる11日朝、桐生市黒保根町の自治会連合会は、大地震発生を想定した全住民対象の安否確認訓練と情報伝達訓練を初実施した。班長らが担当世帯を回って集めた安否確認情報と、町会長などへの伝達所要時間を把握するのが狙い。主催者団体の代表は「節目の日の恒例にしたい。将来は避難訓練などと組み合わせ、全町を挙げての総合訓練を目指す」と意気込む。
災害時にライフラインが遮断され、集落孤立化の恐れがある山間部の黒保根町。行政の支援も届きにくいことから、住民どうしが助け合う“共助”が重要視されている。
今回の訓練は、その“共助”を強化するための第一歩として、町内の自治組織でつくる同市黒保根町(22区)町会連絡協議会(会長・河合正夫第22区長)が主催したものだ。
訓練内容は、県北部震源の大地震で黒保根町が震度6強に見舞われたと想定。町会長や隣組長の指示で班長や伍長が担当世帯を回り、住民の安否確認と災害状況を把握した。
それらの情報を集約して、20地区会長(町会より小さな自治組織の会長)と4町会長に伝達。その所要時間を把握して、災害時の情報伝達の課題がどこにあるかを探った。
下田沢町会清水地区会長の大塚慶治さん(56)は午前9時の訓練発生直後に町会長の指示を受け、各組長を通じてその下の各伍長に担当世帯を回るよう依頼。地元伍長の高沢久翁さん(70)とともに担当世帯を回った。
大塚さんは「実際に震災が起きたら、自分自身や家族の安全が先になる。もし近所の家が全壊して、住民が埋まっていたらと考えると…。安否や災害状況確認ですら、いざとなると難しいと実感した」と語った。
訓練の責任者である河合区長は「初めての訓練なので、今回は課題を探る第一歩。浮き彫りになった課題を今後の取り組みに役立てたい。消防団や民生委員などとも情報を共有し、“共助”の取り組み強化につなげていきたい」と話している。
関連記事: