12という数は不思議だ。人間の手の指は10本しかなく、普段はそれに由来する10進法を使っているというのに、12進法は生活になじみがある。地球が公転する1年は10ではなく12カ月で、時計の文字盤も12まで。昼の12、夜の12で1日は繰り返す。循環のイメージ。古代メソポタミアまでさかのぼるという黄道12星座は天空を巡り、古代中国発祥のえとも12。英語で11、12がワンティーン、トゥーティーンではなく固有の名前をもつのは12進法の名残ともいわれる▼もっともバビロニアでは10進法と12進法を組み合わせた60進法が使われていた。えとも十干と十二支を組み合わせた60で1周期。10と12の最小公倍数である60は今でも時計に使われている▼一説では、1年を12に分けるのは月の満ち欠けが1年に約12回あるからだという。規則的に姿を変える月は時計にも似て、時間の象徴だったのかもしれない。満月がちょうど半分になるまでが約7日で1週間の由来ともいわれる。人類の文明と切り離せない天体の運行は今も私たちの生活サイクルに息づいている▼油井亀美也宇宙飛行士の帰還や日本初の金星探査機の軌道再投入成功など、宇宙からの話題が希望をもたらした今年の12月に思う。(里)
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