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GDPに表れない価値

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 未来創生塾に参加している桐生みどり地域の子どもたちが、渡良瀬川で河川清掃とヤマメの稚魚放流をした。これには山田製作所の社員有志も参加し、一緒にごみを拾ったり、放流活動を手助けするなど、せっせと体を動かし、汗を流していた。

 CSRという言葉をよく耳にする。英語のコーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティーの頭文字を取ったもので、直訳すれば「企業の社会的責任」。社会貢献活動などを指している。山田製作所の社員の取り組みもCSR活動の一環で、自分たちが日々暮らしている地元の自然環境を保全し、子どもたちの教育活動にも貢献しようという、無償の奉仕活動だ。

 話によると、ボランティアを希望する若い社員は多く、河川清掃と稚魚放流への参加希望者も年々増えているのだという。

 清掃と稚魚放流の後にはバーベキューを楽しむ。同じ会社で働きながら、職場が離れているためふだんは顔を合わせない人どうしが知り合い、仕事とは別のテーマで会話を楽しむ、そのきっかけにもなっている。

 社員にとっても子どもたちにとっても、もちろん地域にとってもプラスになる。それどころか社員にとっては賃労働にはない満足感が得られる。人間関係も豊かになり視野も広がる。企業イメージの向上も見込める。

 もっとも、社会的責任といえば堅苦しいが、私たちは普段から家庭や社会で金銭に換算できない奉仕活動を実践している。

 その国の経済力を示す指標にGDPがある。国内で1年間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を指す。付加価値とは、私たちが働いて元の原材料に付け加えた価値のこと。国内で働く人が稼いだ収入の合計額を指しているともいえる。

 お金にならない活動はGDPには表れない。国の経済力を高めることが豊かさへの近道なのだと、これまでよすがにしてきたGDPだが、それが本当に豊かさの指標なのかと、私たちの心には疑問が生まれている。

 個人消費を伸ばし、公共投資を増やし、お金を動かせばその分、GDPは大きくなるが、それだけでは豊かさを計れないことを実感として知っている。

 他国と、あるいは他者と、経済競争をせずに済むような、自分なりの価値観が求められる時代になりつつある。若い世代の考え方に触れると、こうした変化もまた実感ができるのだ。
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