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ウィンウィン

 地場の中小企業の間でも人手不足感が高まっているが、縫製業にとっては慢性的な課題だ。業界団体の役員を務める経営者に話をうかがったときも「募集しても応募がない」と嘆いていた。それ故に外国人研修生を頼りにする事業所も少なくない▼そんな中で、ひょっとしたら新しいモデルになり得るのではないかという事例を聞いた。浴衣の縫製を手掛ける桐生市内の業者が男女の若者を雇った。女性の方はもともと接客の仕事に就いていたが、人と接するのも定時に出勤するのも苦手だった。紹介を受け、1年かけて技術を教え込んだ▼その間は持ち出しになり、小規模経営には厳しかったが、今ではすっかり一人前。好きな時間に来てはミシンと向き合い、黙々と作業に集中している。男性の方はいわゆる引きこもりで家族から相談され引き受けることに。こちらも戦力になってきたそうだ▼技術者の高齢化と人手不足に悩む業界は人材を確保でき、社会で一度つまずいてしまった人たちにとっては再起の機会。双方が益を享受でき、まさに「ウィンウィン」が成立するのではないか▼一事業者の取り組みにすぎないが、展開次第で多くの人が助かる仕組みを築ける可能性を感じている。(
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