Quantcast
Channel: ウェブ桐生タイムス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

オブジェで水道の歴史 80年前の蛇口

$
0
0

 桐生市が水道の給水を始めてから80年余。当時の蛇口を飾りつけたオブジェを、市内東五丁目で水道工事店を営む男性が作った。市水道局も「貴重な資料。6月の水道週間のイベントなどで展示させてもらえれば」と話している。

 このオブジェを作ったのは大澤工業所を経営する大澤博康さん(79)。大澤さんは中学校を卒業して水道工事店に就職。その後、20代で独立し、60年以上にわたって水道工事業にかかわってきた。

 蛇口交換の仕事を請けた際、施主から「古い蛇口はごみで持って行ってくれ」と頼まれたが、捨てずに残しておいた。水道の歴史の“証人”を大事にしたかったのだ。

 4、5年前から計画し、2年がかりでオブジェを完成させた。送水管の継き手として使われた、直径70センチの鋳物製の輪に16個の蛇口を装飾。それを二つ作り、鉄工所に作らせた鉄製の枠に取り付けた。貸し出しも想定し、オブジェは枠から取り外せるようになっている。

 市内で水道の給水が始まったのは1932(昭和7)年。オブジェに使った蛇口には桐生市章の刻印があり、当時を記す資料となっている。

 オブジェは自宅前に設置した。「水あかなどで汚れていたので磨くのが大変だった」と話す大澤さん。近所の人から「すごいのができたね」と声をかけられると、自慢そうに説明していた。

 さらに大澤さんは、戦後の混乱期に製造された蛇口のオブジェの制作も計画している。「材料不足だから蛇口もきゃしゃにできていた。高度経済成長期、特に東京五輪以降に作られたものとは、まったく異なる」と話し、蛇口を通して社会の移り変わりにも思いをはせていた。
関連記事:


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2430

Trending Articles