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ナノ粉砕で新たな可能性、次世代素材に応用へ

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 物質をナノ(10億分の1)レベルの細かさに粉砕する特許技術を持つ桐生市内の企業が、新たな可能性に挑んでいる。材料を粉砕して樹脂に混ぜることでさまざまな機能を持たせることができ、セルロースナノファイバー(CNF)やカーボンナノチューブ(CNT)といった先端素材の粉砕と混合方法の研究も進めている。医療や食品分野への進出も見据える。

 その企業は、桐生市梅田町四丁目にあるIsaac(アイセック)。プラスチックの射出成形やコンパウンド(樹脂への着色剤や添加剤の混合)の企業に勤務した大川功社長(52)が2013年に創業。15年に法人化した。建屋は実家の旧織物工場を活用した。

 特許取得したのは、通称ジェットミルと呼ばれる気流式微粉砕機の技術だ。圧縮空気を装置内に送り込み、竜巻状の高速の旋回流を発生させる。円回転する空気中に材料を投じ、粒子同士を衝突させることによって細かく粉砕する。

 一般的なジェットミルは、装置内に材料を強制的に押し込む仕組みだが、大川社長は旋回流の中心に下降気流が生じる点に着目。投入口を中央に設けることで、空気の流れを安定させたまま真円に保ち、粉砕効率を大きく向上させた。

 ナノレベルへの微粉末化は多様な可能性を秘める。例えば、ナノ単位まで細かくすれば皮膚から体に成分が浸透するため、今まで口から飲んでいた薬の経皮吸収も可能になる。

 次世代素材として注目されるCNFやCNTを樹脂に均一に混合できるようになれば、軽くて強度が高いなど優れた特性を持たせることができる。群馬大学とも情報交換しながら研究を進めているところだ。

 大川社長は「新しい素材をつくる上で微粉末化は非常に効果があると思っている。夢を持ってやっていきたい」と話している。
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