桐生市菱町一丁目の特別養護老人ホーム菱風園の栄養給食部門が、食の満足度を高める取り組みに力を注いでいる。おいしく栄養バランスの取れた食事の提供でお年寄りに食べる喜びを感じてもらい、健康増進と生活の充実を図る。これまでに食べ残しの削減、のみ込み機能の維持・向上が確認でき、取り組みをまとめた論文「笑顔と生きる喜びに繋げるための食事サービス」は今年度、郡山市で開かれた第51回全国社会福祉事業団大会で表彰を受けた。
同施設は毎日120食以上を管理栄養士2人、調理員9人で手づくり。管理栄養士の根岸幸子さんを中心に、おいしく、栄養バランスがよく、楽しめる食事の提供に熱心に取り組む。
きっかけは、食のサービス向上を図る調理員らの声だった。根岸さんは利用者の興味を引く目新しいメニューや、普段食べられない各地の料理を詰めた「駅弁風」の食事などを献立に加えた。調理員の小平晃さんは「スタッフがみんな協力的。利用者さんの笑顔と『おいしい』の言葉がやりがい」とほほ笑む。
前年度からは、手づくりのパンを数種用意したおやつ企画「パンバイキング」もスタートした。元調理員でボランティアの大賀秀敏さんの経験を生かしたイベントで、ずらりと並ぶ焼きたてのパンは目にも楽しく、選ぶお年寄りたちは思わず顔をほころばせていた。
利用者の要望を聞きアイデアを出し合い、食事の満足度を高めることで「食べ残しが減った」という根岸さん。加齢や病気などでのみ込みが困難になりつつある利用者に対して、看護師や介護士など多職種で協力し、自分の口で食べられるように支援する取り組みも行っている。
根岸さんは、「健康的でおいしい食事はもちろん、調理員の負担を減らせる調理方法にも挑戦してみたい」とさらなる目標を掲げた。
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