本紙の記者になって11カ月になる。いまは担当を任されて、1人で取材へ行くようにもなった▼以前は会話の少ない業種に身を置いていたから、この1年で出会った人、交わした会話を振り返ると、その濃密さに驚かされる。期待と不安の中でまず任された街ネタは、「おもしろいお店がオープンした」「変わったことをやっている人がいる」など、内容はさまざまだ▼あるときは「まちの変化に気付こう」と外に出て、気になることを見つけては近くの人に声をかけてみた。いきなり話しかけたものだから、怪訝そうな表情をされたけれど、横に立って同じ景色を見ながら世間話をしていると、少しずつ心を開いてくれたりもする▼毎日誰かと出会い、記事を書いて、最近は携帯電話がよく鳴るようになった。「今度こんなことをやりたいんだけど」とか。「えっ、どんなことですか。今から行きます」。目の前で熱を込めて語る姿に、こちらも胸が高鳴る▼出会っていなかっただけで、まちには熱意ある活動がたくさんあると知った。「まとまるかな」と不安なときもあるが、それぞれの熱い思いを受け止めて、入社当初に先輩記者が口にした〝血の通った記事〟で紹介できればと思う。(大)
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