3月間近。桐生地方卸売市場と取り引きのある生産農家の佐瀬和良さん(56)=太田市大原町=のビニールハウスでは、小玉スイカの「愛娘(まなむすめ)」が収穫期を迎えている。
佐瀬さん方では長さ50メートルのハウスを34本使い、小玉スイカを育てている。苗を定植したのは昨年11~12月。段階的に収穫できるよう、時期をずらしながらの作業だった。
花が咲けば次は受粉。温かくなればハチの力も利用できるが、「冬場は手で受粉させる方が確実」と和良さん。甘く大きく実らせるために、一つの木につき実は2個まで。
寒かったこの冬は、ハウス内の最低気温が目安の10度を3度も下回る日も。降雪もあり、生育の遅れを心配したが、2月に入ると日差しが増え、帳尻を合わせるように玉がぐんと膨らんだ。
化石燃料や電気は使わず、外気と太陽光を調整しながら室内の温度を30度前後に保つ。開閉だけで約2時間。空模様を気にしながら、根気のいる作業だ。
だからこそ、順調な実りは何よりの喜び。一番果の糖度は14度近く、「しゃり感も甘さも十分」と、父親の勝利さんも納得する。週明けから出荷を始める予定だ。
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