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高校生、安吾に挑む 桐一、桐南、樹徳の14人が朗読

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 第29回安吾忌の集いが10日、「高校生、安吾を読む!」と銘打って有鄰館煉瓦蔵で開催される。作家坂口安吾(1906~55年)が桐生で急逝した2月17日にちなみ、さまざまな形で安吾作品を味わってきた催しに、今年初めて高校生が登場。地元3校の放送部と演劇部の生徒たちが「桐生通信」全8編の朗読に挑戦する。

 「桐生通信」は1954年3月から12月にかけて、読売新聞の文化欄に8回にわたって連載されたエッセー。桐生に移住して2年後の安吾が、商魂たくましい町の様子や旦那たちの性向、広い校庭を持つ小学校、映画館と自転車の関係、底抜けのお祭り好き、桐生川のアユ、家主の書上文左衛門とゴルフなど独自の観察眼で闊達に描き出しておもしろい。

 この作品に挑むのは樹徳高校放送部の3人と、桐生第一高校演劇部3人、桐生南高校演劇部8人。これに桐生市本町四丁目で「ヴァイオリン工房」を営む伊藤丈晃さん(38)が、ビオラの演奏を添えることになった。 

 樹徳放送部の淺沼雄登さん(1年)と渡辺蘭さん(1年)、岸和佳奈さん(2年)、静野恒一教諭(35)は3日、伊藤さんと初顔合わせ。演奏と朗読の出だしをアイコンタクトで計ったり、拍手を受けて退場する間を合わせたりした。

 高校生は「昔の小説を読む機会がない」と、64年前の桐生を描いた安吾も遠い存在のよう。イケメンの文豪たちが登場するアニメやゲームで安吾の名を知っている高校生もいるが、今回のチャレンジは距離を縮める機会にもなったようだ。

 伊藤さんは「自分は弾き手ではなく作り手ですが、高校時代にビオラと出合ったので、高校生といっしょにやれるのはうれしい」。やはり初の試みに「演奏はアドリブ的ですが、有鄰館という場で響きと音色を味わってもらえれば」と語る。

 集いは10日午後1時半開場、同2時開演、入場無料。その後に午後5時から美喜仁(本町四丁目)で懇親会(会費5000円)。安吾長男の坂口綱男さん、映画「白痴」監督で桐生ロケを敢行した手塚眞さんらも参加する。申し込み、問い合わせは主催の安吾を語る会(奈良彰一代表、電0277・22・7967)へ。
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