文化庁の助成で21日に行われる桐生文化芸術発信事業「白瀧姫御縁起」の舞台に、桐生が生んだ世界的テキスタイルプランナー新井淳一さん(1932~2017年)の布が掛かることになった。スーパー歌舞伎や平成中村座などの舞台美術を手掛けてきた金井勇一郎さんと、舞台監督をつとめる浅香哲哉さんらが来桐し、大川美術館が所蔵している布を選定し構想を練った。
「白瀧姫御縁起」公演は桐生市市民文化会館開館20周年記念事業でもあり、舞台はシルクホール。京の都から桐生に織物の技術を伝えて神としてまつられる白瀧姫と山田男の伝説に神楽や和太鼓、八木節、民謡などもアレンジして創作舞踊とし、桐生の子どもたちや女性たちも出演。最後は昇天して織姫と彦星となる夢幻のストーリーという。
作・演出、振り付け、作曲、美術、照明などには当代一流の歌舞伎研究者や実作者らが結集している。地元桐生からは奈良彰一さんが監修でかかわり、舞台美術についても新井さんの布や鳳仙寺(梅田町)の竹、絹の染織工房(宮本町)の織機の使用を提案した。
新井さんの布に触れた金井さんは「すばらしい布。きれいに見えるでしょう」と語る。アルミニウムを真空蒸着したポリエステルフィルムのスリットヤーンを経糸に、ウールの緯糸を織り込んだ布を手で絞り、あるいは板締めし、金属を溶解させた漆黒と金の布たちは「ディコンストラクション(脱構築)」シリーズで、1991年から92年の作品。大川美術館が所蔵する5点が選ばれた。
白瀧姫と子どもたちが布さらしをする渡良瀬川のシーンで、上からおりてくるという。また京から桐生への道行には木曽路の浮世絵、文化元(1804)年に小寺應齋が描いた「白瀧姫御神影」などの映像も投影され、ラストシーンには天の川が広がる。
公演は午後3時開演、第2部は歌舞伎俳優市川猿之助さんのトークショー。チケットは1500円(全席指定)、市文(電0277・22・9999)、笠懸野文化ホール(電0277・77・1212)、桐生音協(電0277・53・3133)などで取り扱っている。
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