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絶望からの脱出

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 「車椅子の宇宙物理学者」で知られる英国のスティーブン・ホーキング博士が76歳で亡くなった。1988年の世界的なベストセラー「ホーキング、宇宙を語る」では、「なぜ宇宙が誕生したのか」「人類はなぜ存在するのか」などを問いかけ、研究の魅力を分かりやすく伝えた。専門はブラックホールで、光さえものみ込む宇宙の闇の渦から「脱出できる」と唱えた。何度も絶望の淵へ落ちた博士の人生とも重なる▼希望に燃えていた21歳で筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断を受け、2年以内の死を宣告された。絶望の中、愛する女性と出会い結婚。転機に希望を得るも、まひが手に至り書くことができなくなった。さらに44歳で声帯を失い、周囲との意思疎通を完全に断たれ、「まさにブラックホールの中をさまよった」▼このとき博士を救った技術は、私たちが今スマホなどで文章を入力する際に体験できる。最初の一文字を入れると、続きを予測して変換候補を表示する予測変換機能だ。入力が速く、音声にも変えられてコミュニケーションを可能にした▼「限られた時間で研究を成し遂げたい」という固い決意で医師の宣告よりはるかに長く生き、人生の困難の渦から脱出し、輝いた。(
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