集落ぐるみで獣害対策に取り組んでいる桐生市梅田町四丁目町会(中島孝守町会長)は、猿石(せりし)地区で実験中の獣の侵入防止柵に関して、柵を設置した昨年6月から今年1月にかけて、畑の中にシカ、タヌキ、サルなどの侵入が確認されていないと経過を報告、侵入防止柵が一定の抑止力となっていることがわかった。
実験中の侵入防止柵は、兵庫県香美町小代地区で開発された「おじろ用心棒」の改良版。イノシシの侵入対策で使われる金網(ワイヤメッシュ)を利用し、上部にサル対策用の電気柵を組み合わせた。イノシシ・サル対策に加え、地上高もあるのでシカも防除できる。
柵を設置してから約7カ月間、周囲に2台のセンサーカメラを取り付け、獣たちの侵入や動き・反応などを観察してきた。その結果、秋以降はほぼ毎日集落にシカ・タヌキなどの獣の出没が記録されたが、柵を乗り越え畑へ侵入した獣はなく、作物への被害も皆無だった。
6日に開かれた経過報告会には、地域住民や県・桐生市の担当職員らが参加。柵の仕組みや設置するときの注意点などを確認した。県桐生地区農業指導センターは今後、専門機関である県鳥獣被害対策支援センターに経過を報告し、「シカの柵跳び越えが起こらないか引き続き経過観察する。他域での実験柵との比較を行うなど、効果の検証を進めたい」と話している。
獣による農作物被害に悩む同町会は2011年から獣害対策委員会を設置し、桐生市や県桐生地区農業指導センターの協力を得て「獣に嫌われる集落づくり」を実施。皆沢(かいざわ)地区でネットを使用した侵入防止柵の実証実験などを行ってきた。
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