ニホンザルの農作物被害を防ごうと桐生市は新年度、サル対策用の大型捕獲おり2基を新たに導入する方針を示した。2015年春から有効性を検証してきた川内町一丁目と黒保根町の2基の大型捕獲おりに一定の効果が認められ、これらの経験を生かしての追加導入。設置の候補地は梅田町四、五丁目付近と黒保根町の2カ所で、市林業振興課は「導入が決まったら地元と相談しながら設置場所を検討していく」と話している。
市は昨春、川内町一丁目と黒保根町水沼地区の一角に、群れで移動するサルをまとめて捕獲する大型おりを設置して、その効果と課題を検討してきた。川内では15年4月24日に31頭、11月13日に2頭を、黒保根では4月18日と16年1月18日にそれぞれ11頭捕獲。サルは捕獲直後はいったん警戒を強めるが、期間をおけば継続して同じ大型おりで捕獲できることがわかった。
また、県鳥獣被害対策支援センターの協力を得て捕獲後に発信機を付けた個体を放獣。行動範囲や他の群れの動向なども調査してきた。
大型捕獲おりの追加導入にあたり、これまでに得た群れの数や動きのデータ、目撃情報などを踏まえて設置場所を選定。川内・黒保根の事例を生かして、場所に適したおりの大きさを検討するなど新たな試みも取り入れて、その効果を検証する。
一方で、大型おりは移動が困難で長期にわたり設置するため、地域の理解と協力が欠かせない。さらに、おりの数が増えるなかで、中にサルを呼び込むエサの供給など運用にも地元の協力が必要になるという。同課は「おりの効果は設置場所にかかっている。設置候補の地元の意見を聞き、協議を重ねていきたい」と話している。
サル対策大型捕獲おり2基の購入・設置にかかる費用は約360万円。市は、国の鳥獣被害防止総合対策交付金の事業「誘導捕獲柵わな導入」に要望書を提出しており、交付決定は新年度以降となる。
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