社会人の第一歩としては、波瀾万丈かもしれない。自分を必要としてくれたから、迷わず向かった見知らぬ土地。その直後に体験した大地震。「あっという間」と激動の２カ月間を振り返る▼樹徳高校を今春卒業した矢野聡士さん（１９）は最速１４５キロ右腕の好投手。熊本市のスーパーが運営する実業団「鮮ど市場ゴールデンラークス」に入社した。が、入社半月足らずで熊本地震に遭う▼損壊した会社や店舗の復旧作業に加え、被災住民のボランティア活動にも奔走した。被災農家支援では、イモの苗植えなど長時間の農作業も初体験。そんな生活が５月の大型連休明けまで続く▼都市対抗野球の地区予選では、慣れない裏方役を精いっぱい務めた。予選突破はならなかったが、今までと違う気持ちで野球に取り組めた。「いろんな人に感謝して、感謝もされた。お世話になった人たちに恩返ししたいと本気で思った」▼プロ入りの夢実現に向け、早朝からスーパー店員として働き、終業後は野球の練習に打ち込む。こんな青年にこそ、選挙権はふさわしい。１８歳選挙権が国政で初適用される参院選はあす公示。選挙権を得た若者たちにはぜひ、投票するチャンスを生かしてほしい。（針）
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社会人の第一歩
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