自分の投票先は家族にも言わないものだと、そう教えられて育った。そんな生い立ちなので、選挙を取材する立場になってから、ある飲食店主に「ウチは家族で票を分けるんさ」と言われたときは、投票先を家族間で調整する家もあるのかと驚いた記憶がある▼今回の参院選から「18歳選挙権」が適用されるが、新しい有権者は投票先をどう選ぶのだろう。中日新聞が18、19歳100人に聞いた調査では、投票先を「自分で決める」が66人、「親や先生に聞く」が27人、「友達と相談」が3人。自分で決める人たちも、実際には家庭の影響が大きいのではなかろうか▼NHKが全国の18、19歳1803人に聞いた調査では、いまの政治の満足度について「満足」が計24%、「不満」が計74%。政治が変わってほしいかどうかでは、実に87%が「変わってほしい」と望んでいる。「日本の将来は明るいと思うか」との問いでは「思う」38%、「思わない」が61%。未来に希望が持ちにくい状況が、政治への不満につながっているのだろう▼親が投票にも行かず「いまの政治はダメだ」と子どもに愚痴っていても、状況は変わらない。無関心は勝手だが、無関係ではいられないのが政治だ。「18歳選挙権」は、親の意識も問われている。(成)
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