以前、本欄で羽化しないアゲハチョウさなぎの話をした。「処遇に困っている」と締めくくったあれはいまだに見事な緑色で、まるで生きているよう▼どうにもあきらめがつかなくて昆虫の森の専門員に尋ねると「室内飼育で日に当たる時間が短いと越冬さなぎになる可能性がある」とのこと。1カ月ほど様子をみてから冷蔵庫に入れて、疑似的に冬を経験させ再び室温に戻せば羽化する可能性があるそうだ▼言われてみれば確かにその通り。だけど、「さなぎで越冬する」という知識を持っていても、なかなか実際の現象と結び付けられないものだ。そこがプロフェッショナルとの大きな違い▼彼らは自分たちの経験を生かし、目的達成へのさまざまな可能性を模索し、膨大な知識と数々の技術を駆使して、最良を選び取る。大げさなようだけれど、どんな職業でもプロフェッショナルとはそういうこと。だからその仕事ぶりが好きだし、あこがれてしまうのだ▼ときに先の日曜日。選ばれた人たちの中に「プロフェッショナル」はどれくらいいるんだろうか。政治に限らず、何らかの知識・技術・経験を有し、自分の持ち場で力を発揮できる人はどれくらいだろう。そんなことをふと考えてしまった。(並)
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