近江商人発祥の地の一つ、滋賀県近江八幡市の県立八幡商業高校(小島秀樹校長)の生徒28人が24日、近江商人ゆかりの地の販売実習で桐生市を初めて訪ね、市中心街で行商体験をした。“近江商人の卵”たちは暑さにもめげず住宅地をくまなく回り、事前に仕入れた特産品を売り歩く奮闘ぶり。「事前に新聞で知っていてくれた人が多くてうれしかった」「自分の店を出すという夢につなげたい」と声を弾ませていた。
「近江商人の士官学校」と称される同校の販売実習は2013年度から、先人の精神と商売の手法を学ぶ「近江商人再生プロジェクト」と題して、全国の近江商人ゆかりの地を訪問して販売実習を行っている。
4回目の今回は21~27日の1週間で、金沢市や新潟県長岡市、前橋市を経て初の桐生市入り。滋賀で仕入れた商品を先々で行商し、近江商人の手法「産物回し」に習って、訪問先でも商品を仕入れて売り歩く。
来桐した生徒たちは、まず近江商人が創業した化成品商社の矢野(鑓田実社長)が桐生市本町二丁目で営む矢野園を見学。鑓田社長の講演で「有鄰」や「三方よし」など近江商人の精神が息づく経営理念を学んだ。
その上で2、3人の班ごとに分かれ、中心街の住宅地を回って行商体験に挑戦。キャスター付き台車に積んだ近江特産の赤こんにゃくや丁字麩(ちょうじふ)など食品を中心に、約3時間かけて訪問販売した。
池澤侑香さん(1年)と猪田鮎奈さん(同)は「他の場所では断られてばっかりだったけど、桐生は事前に(行商に来ることを)知っている人が多くて、快く買ってくれてうれしかった」と満面の笑みを浮かべた。
生徒たちでつくる「天八商店」の社長を務める阪東拓弥さん(2年)は「近江商人の精神が群馬にも息づいていることを知ってうれしかった。今回の体験を自分の店を出すという将来の夢につなげたい」と目を輝かせた。
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