初めて来る祝日「山の日」を前に、江戸時代から信仰の山として盛んに参詣された根本山(1199メートル)の古道、沢コースを復活させようと、23日に有志が整備活動に汗を流した。登山道をふさぐ倒木を切り払ったり、迷いやすい箇所に道標を設置したり。山の日当日の8月11日には、山頂にも「根本山」の標を立てることにしている。
旧桐生市最北、桐生川源流の根本山は、群馬と栃木両県の百名山、自然環境保全地域で、登山道は沢コースと中尾根コースがある。根本沢を遡行(そこう)して根本神社に登る参詣道には江戸末期の丁石や石祠、不動明王などの石造物、鉄はしごが残り、籠堂跡もあって、かつての隆盛ぶりがしのばれる。北限に近いシオジ(モクセイ科)の姿も美しい。しかし近年は不死熊橋上流すぐから荒れて、通る人が少なくなっていた。
山を愛し、歴史を大切にする桐生山岳会(吉田勝利会長)のOBたちと、地元の梅田町五丁目町会(石島万三町会長)がつくったのが「根本山瑞雲(ずいうん)倶楽部」。富士山の頂から見えた瑞雲たなびく山が根本山だったという由緒にちなむ名称で、長年かけて丁石や石造物を調査して歴史遺産の復活を願う人もいる。
当日は緑が煙るような霧雨様だったが、登山口に立てる看板や沢コース20カ所の道標、チェーンソーやナタを用意して、呼び掛けに応じた人たち約30人が担ぎ上げて、沢を渡ったり高巻きしたり、山中に設置して回った。イワタバコやヤマユリの花が疲れを癒やすようだった。
倶楽部の会長をつとめる石島町会長は、地元愛に加え「最近は迷子になる人やけがをする人も。携帯電話も圏外なので、安全に山を楽しむためにも必要です」と話す。
初めての「山の日」には午前8時に三境林道入り口駐車場に集合、山名を記した看板などを持ち上げて立て、祝う予定にしている。
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