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通りを見る・町を鳥瞰する、金原寿浩さんあすから個展

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 天満宮から錦桜橋まで、また錦桜橋から天満宮まで、往復6キロの長い商店街を3年半がかりで描き尽くした金原寿浩さん(54)=桐生市本町四丁目=の「桐生本町通絵図展」が、17日から有鄰館煉瓦蔵で開催される。完結お披露目をしてから6年半、東日本大震災を経た街並みはそこここ変化しているのが市民の目に実感できる。また雄大なスケールでとらえた「桐生鳥瞰図」や、今夏の祇園祭神輿渡御行列を描いた新作も初公開する。

 金原さんは東京生まれ埼玉育ちで、桐生に移住して21年。ノコギリ屋根の共同アトリエ「金田丸岡平」を拠点に制作活動を続けている。桐生和紙で自作した画帳を持って街に出て、一軒一軒の建物を細密に、行き交う人々や犬猫鳥、過ぎゆく時間や季節の移ろいも含めて描き連ねたのが「本町通絵図」だ。

 通りに面して見えるものは全部描いた。さらに現場でじっくり描くことで人との交流が始まり、多くのことを教えられた。見えるものだけでなく、内部や裏側や過去にも想像力が及ぶようになった。

 その成果である片側約30メートルの長大作は、煉瓦蔵でなければ展示できない。色を補うなど加筆して、再展示を求める声に応えた。年月がもたらすものを、再発見できる。そして長大作が街の日常とすれば、神輿渡御行列を描いた新作は祭りという非日常の一こまだ。

 圧巻は「桐生鳥瞰図」(160センチ×300センチ、桐生和紙に青墨と茶墨)。渡良瀬川以北の桐生市街地を鳥の目でとらえうねり連なる山並みが背骨のように北上すると、はるか北海道まで見渡せる。

 移住当初から「桐生は関東平野の終わるところ」と思った。雄大な視点でとらえ直し「人は自然に影響されて生を営んでいると実感した」。モノクロの作品は太古からの数々の出来事をふつふつと語りだしてきそうだ。

 路地や焼け跡や枯れ葉など、美意識を引き付けられた対象を描いた小品もあり、約40点で空間を構成した。作家は常駐し、25日まで(午前10時~午後7時、最終日同5時終了)。問い合わせは有鄰館(電0277・46・4144)へ。
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