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ヤマメの親魚放流 自然産卵で増殖、環境学習にも

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 桐生市川内町二、三丁目の渡良瀬川支流・山田川で、成熟したヤマメの親魚を放流し、自然産卵を促す取り組みが行われている。魚の自発的な産卵を促すことで、稚魚放流に比べて高い生存率が期待できるほか、生まれ育った川の環境に適応した“強く美しい魚”が育つという。魚の増殖に取り組む両毛漁業協同組合の中島淳志組合長(43)は「常に見えるわけではないが、橋の上などからヤマメの産卵行動が見えるときもある」と観察を呼びかける。

 水産資源としての魚の増殖は稚魚や成魚放流が一般的だが、近年では、他所で養殖された魚よりその川で自然繁殖した魚のほうが生存率が高いとの報告があり、親魚放流の有効性が注目されている。

 両毛漁協は稚魚放流などに加え、2013年から渡良瀬川と桐生川で親魚放流を行っている。昨年からはその効果を詳しく調べようと、県水産試験場と日本釣振興会県支部と連携し、両川で本格的な親魚放流試験に着手。ただ密漁を防ぐため、放流場所は公表していない。

 今年からは、魚影が見やすい山田川を環境学習の場と位置づけ、親魚放流の意義を説明した看板を川岸に立てて取り組みを公開した。9月末の放流は地元住民らも協力し、地域の取り組みという側面も持たせた。

 サケと見誤るほど成熟した親ヤマメのメス12匹、オス20匹を放流。赤い婚姻色になったこれらの魚には追跡用のタグ(指標)がついており、渡良瀬川との合流部の下須永橋や、その上流の歩行者専用橋・むつみ橋の上から、2匹が寄り添ったり河床を掘るなどの産卵行動が見える。

 その日の条件にもよるが、産卵行動は一般的に11月上旬ごろまで見えるという。中島組合長は「生命感あふれる健全な川をつくるための取り組み。多くの人に生命の神秘を見守ってもらい、自然環境の尊さに関心を持ってもらえれば」と話す。
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