10回の節目を迎えた「クラシックカーフェスティバルin桐生」は今月初め、大きなトラブルもなく終了した。原則2年に一度、貴重な車両を出展してくれる愛知県のトヨタ博物館から「ボンドカー」の2000GTが特別展示され、注目を集めた▼博物館と桐生の間を橋渡しした心強い応援団の一人である、桐生市出身で元トヨタ自動車の岡田稔弘さん(80)に伺ったエピソードが興味深かった。岡田さんは、一世を風靡したソアラを開発した当時社長だった豊田章一郎名誉会長と今もホットラインが通じている▼協力を岡田さんが直訴して博物館の出展が実現したが、願い出たときに名誉会長は「桐生はよく知っているよ」と語り、その場で快諾してくれたそうだ。トヨタの始まりは織機メーカーの豊田自動織機であり、繊維で発展した当地は業界で昔から間違いなく知られた存在だった▼そういう意味では、間接的であるにしろ、地場産業の歴史が桐生とトヨタを改めて結び付けてくれた側面もあるのかもしれない。会場の群馬大学理工学部はもともと織物学校として開校し、当の岡田さんの実家も縫製の仕事を営んでいた。お話を聞きながら、必然のような偶然に縁深さをなおさら強く意識した。(悠)
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織都が結ぶ縁
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