最近、まともに掃除をしていなくて、棚とテーブルに物がぎっしり。週末、ようやく重い腰を上げて分類に取りかかった▼一目ぼれした南の島の本、読みさしの昆虫雑学本に文庫本が積み上がって、旅先の地方新聞、きれいなまま落ちていたセミの前翅、貝殻、松ぼっくりに小石、その他もろもろ。雑多なんだろうけど、邪険にできない物ばかりで、困る▼そんなふうに迷ったときは、本以外を「大切なもの引き出し」に入れてしまう。これが大変便利で重宝している▼中には、海外の電車旅で隣り合わせた幼い男の子がくれたあめの包み紙、沖縄で同じ宿だったフランス女性からもらった南国フルーツの種、山で足を踏み外してずり落ちたときに拾った小石。これらは少しの緊張を持った一人旅で、きちんと帰れるように守ってくれたもの。その隙間に新しい「もの」を詰め込んでいった▼仕上げに、友人から贈られたピンバッジとメッセージカードを平らに直す。少し悩んで、夕焼けを歩く猫背の少女が描かれた祖父のスケッチブックを一番上にした▼出来上がった引き出しを眺めるとやっぱり雑多で、整理整頓できてない。それでもいい。引き出しがあふれ返るのがちょっと楽しみなのだ。（並）
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引き出しの中
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