災害の多いこの国では地震や台風で、いつどこで被害が発生してもおかしくない。とはいえ、頭では分かっていても大半の人にとっては実際に身に降りかかるまで、その大変さを実感するのが難しいのはやむを得ない▼桐生市立東小学校で、PTAが主催して今月初めに開かれた防災キャンプは、子どもたちが避難所生活を疑似体験する初の企画だった。参加した27人の児童は体育館に寝泊まりした1泊2日の時間を通じ、たくさんのことを学んだようだ▼避難初期は電気も水道も使えず、配給も十分ではないから、食事もままならない。そんな状況を想定して暗闇の中で食べた乾燥米飯の感想は、一様に「まずかった」。一方で、ふだん苦手な食べ物がおいしく感じられたと話す子もいた▼災害に備えて市が保有する簡易式の間仕切りは、プライバシーを守る上で大きな力を発揮した。ほぼ2㍍四方で高さ1メートル。少し狭いけれど、ひと家族が急場をしのげる広さだ。長谷川博紀PTA会長は「食料よりも大事かもしれない」と話した▼他人の物音やいびき、空腹で満足に寝られなかった子も多かったという。身をもって大変さを知った子どもたちはきっと、日常の幸せも意識しただろう。(悠)
関連記事:
↧
小さな幸せ
↧