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1人の決断で数字は変わる

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 信号のない場所で横断歩道を渡ろうとする歩行者がいても9割以上の車が一時停止をしていないと、さきごろ日本自動車連盟(JAF)が、自動車運転に関する全国調査の結果を公表した。歩行者の立場からは実感が伴う数字であり、また運転者の立場からは、真摯に反省しなければならないその割合である。

 道交法に照らせば答えはあきらかである。横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる際は横断歩道直前で車を一時停止させ、通行を妨げてはいけない。違反者には3カ月以下の懲役か5万円以下の罰金が科される。とはいえ、そうした取り締まりの場面を最近は見たことがない。要するに、10台に1台が止まってくれるタイミングを歩行者が粘り強く待つことで成立しているのが現代の横断歩道事情なのだ。

 ではなぜ、多くの車はそこで一時停止をしないのだろうか。

 いや、止まろうかどうしようかと迷わない運転者はおそらくいないだろう。従ってこの「9割以上」は、横断歩道の直前で必ず止まる人が10人に1人ということでなく、みんな10回に1回は止まっていると、このように受け止めたい割合である。

 迷う要因は第一に、停止は車の義務であるという認識が周りの状況に流されながら、薄らいでしまっていることである。

 特に、前を走る車がそのまま通過したときに追従したり、対向車に停止する気配がないときに流れに身を委ねてしまったりと、その結果だと思うのだ。

 それが違反だということを知らない人はいない。でも、車の流れを断ち切ってしまうことにはやけに過敏で、自分から率先して範を示すのは苦手。そんな運転者心理が浮かんでくる。

 でもこの状態は改善しなければならない。そのためにもまずは1人が意識を変えることである。たとえば1人が止まれば対向車線にもすぐ止まる車は現れる。そこでの割合はきっと2台に1台とか100%とか、たちまち変わることだろう。

 歩行者として横断歩道で待っていて、あと1台通過してしまえばゆっくり渡れるというケースがある。こんなとき、その1台が止まってくれればありがたいという気持ちが一層わいてくる。だからハンドルを握ったときも、その気持ちを忘れず、率先して範を示そうではないか。

 運転者のその心がけプラス歩行者の明確な意思表示。数字は必ず改善されるはずである。
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